座骨神経痛の症状と原因、その治療方法は?

腰痛とならび多くの日本人が苦しむ坐骨神経痛。現在日本ではおよそ3000万人が腰痛で悩まされいると言われるくらい日本は「腰痛大国」なのですが、そのうちの実に半数近くが坐骨神経痛を持っていると言われています。

 

坐骨神経痛に悩まされているのは高齢者だけに留まらず(もちろん高齢者に多いのですが)、20代や30代の若い方でも足のしびれや痛みで悩まされている方も多いものです。

 

坐骨神経は下記の図のように腰から出てお尻から太ももの裏を通り、足へと向かって伸びている神経で、下肢の知覚や運動を司っている大切な神経です。

 


 

何からかの原因でこの坐骨神経に障害が起こると坐骨神経痛を発症し、お尻から太ももの裏側にかけての部分に、坐骨神経に沿って痛みが走り、しびれや筋肉低下などの症状が出ますし、症状がひどい場合は歩行困難にもなってしまいます。

 

  • 足やお尻のピリピリとしたしびれ
  • 足や下半身のだるさ
  • 足の感覚がおかしく、鈍くなる
  • 長時間歩く事ができなくなる
  • つま先がピリピリ痛み、つま先立ちができない
  • かかとが痛く、かかとを上げるのがつらい
  • 足先や足首が冷たく、感覚が鈍っている
  • 股関節のあたりがだるい
  • 足裏の感覚が変でふわふわ浮いている感じがする

 

これらが代表的な坐骨神経痛の症状です。

 

坐骨神経痛が軽度で、お尻や足のピリピリとしたしびれ症状が出る時はお尻の痛みだと勘違いする方も多いのですが、痛みやしびれだけでなく、今度は足のだるさや脱力感が襲ってくるようになります。足にしっかりと力が入らず、麻痺や歩行障害などの重度の症状が現れれば、それは間違いなく坐骨神経痛です。

 

坐骨神経痛は「治療をしても完治しない病気」でもなければ、「症状とずっと付き合っていくしかない」病気ではありません。原因をしっかりと見極めて適切な治療をしていけば基本的には治る病気ですから、決してそのままにしてはいけないのです。

 

坐骨神経痛を甘く見て放っておくとどんどん悪化してしまい、酷くなると歩行をはじめとした運動機能に障害が出てしまい、仕事ができなくなってしまったり、本当に最悪の場合は寝たきり状態にすらなってしまいます。

 

そもそも坐骨神経痛は“病名”ではなく、あくまでも“症状名”なのです。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが原因の腰痛によって引き起こされる症状のひとつを指しているのです。

 

坐骨神経痛になる原因は?

 

足がしびれたり痛みを感じているからと言って、坐骨神経痛の原因は足にあるわけではありません。坐骨神経が腰のあたりから伸びているように、実は坐骨神経痛の多くは腰に原因があるのです。

 

足の運動や近くを司っている神経は、腰椎の脊髄をスタート地点として坐骨付近を通り、足先へと長く伸びています。このスタート地点である腰椎で腰痛トラブルが発生し、神経がしきりに圧迫されるためにしびれや痛みなどの症状が出るのです。

 

このように坐骨神経痛の原因の中で最も多いのは坐骨神経が出ている腰椎(ようつい)の病気で、下記のような病気が有名です。

 

坐骨神経を引き起こす腰椎の病気

 

1.椎間板ヘルニア

 

椎間板ヘルニアは腰椎の変性の中では若い頃から見られる病気で、坐骨神経痛の代表的な原因になっています。

 

椎間板とは背骨の骨と骨の間にクッションのように挟まっている組織のことで、このクッションがあるおかげで腰への衝撃や負荷がやわらげられているのです。しかしこのクッションである椎間板は20代後半以降から徐々に老化をし始め、歳をとるごとの柔軟性やクッション性を失っていきます。

 

更に、普段から前かがみの姿勢をとっていると椎間板に大きな負荷を与え続ける事になり、普通の人よりも早いスピードで椎間板の耐久性が失われていってしまいます。

 

そこに激しい運動や重労働などで腰に強い負荷がかかってしまうと、その腰にかかる負荷に耐え切れなくなった椎間板が押しつぶさ、押しつぶされた椎間板にさらに圧力が加わると、髄核という中身が本来あるべき場所から飛び出してしまい、そのはみ出した部分が神経に触れる事で痛みやしびれが生じるのです。

 

 

激しい運動、重労働も椎間板ヘルニアの原因ですし、腹筋や背筋の筋力低下、肥満による腰椎への負荷増加も椎間板ヘルニアの原因になります。

 

上記の図のように、この赤丸のはみ出した部分の事を指して、ヘルニアと呼んでいるのですが、ヘルニアが触れる神経がお尻や足にまで伸びているので、しびれや痛みなどの坐骨神経痛の症状が引き起こされるのです。

 

また少し前まではこの飛び出したヘルニアは手術で取り除かないといけないものと考えられていましたが、最近では手術をするケースはむしろ減っています。それは、ヘルニアが自然に縮小する事もある事が判明し、ヘルニアがあっても必ずしも痛みが出るとは限らない事も分かってきたからです。

 

2.脊柱管狭窄症

 

椎間板ヘルニアが若い人にも多い坐骨神経痛の原因であるのに対し、脊柱管狭窄症は中高年の坐骨神経痛を引き起こす原因に多く、50代以降に増え、60代になるとグッと急増する病気です。

 

脊柱管狭窄症は背骨の中心を貫く神経の通り道である「脊柱管」が下図のように狭くなってしまい、その結果、中の神経の束が圧迫されてしまっている状態を指します。神経が圧迫された影響で頻繁に腰が痛んだり足がしびれるようになります。

 

 

背骨に関係する病気なので、脊柱管狭窄症は胸や首などにも起こるのですが、腰痛や坐骨神経痛の原因になるのは腰部の脊柱管が圧迫される腰部脊柱管狭窄症です。

 

脊柱管狭窄症の最大の原因は老化に伴う背骨の変形です。ですから、中高年に多く見受けられるのです。

 

脊柱管狭窄症に特徴的な症状として挙げられるのが「間欠跛行」(かんけつはこう)と呼ばれるものです。少し歩くと足にしびれや痛みや脱力感が生じて歩けなくなるのですが、座ったりしゃがんだりして休息をとればまた歩けるようにあるという症状です。

 

それゆえ、「年のせいで疲れやすくなったのかな」と勘違いして、足腰の弱った高齢者は脊柱管狭窄症に気が付きにくいという点も指摘されます。

 

また脊柱管狭窄症の特徴として、背筋をピンと伸ばして歩くとさらに痛みが増し、逆に体を丸めて歩くと痛みが軽減される傾向にあります。これは、姿勢を良くするとより脊柱管が狭まってしまうからで、神経が圧迫されて痛みが増大してしまうからです。

 

したがって、脊柱管狭窄症の方は体を丸めた状態の方が楽に感じられるため、椎間板ヘルニアとの区別はつきやすいのです。

 

3.変性すべり症

 

変性すべり症は椎間板や椎間関節の年齢に伴う変性によって腰椎が不安定になり、下図のように椎体にすべりが起きて、神経が圧迫されてしまう病気です。椎体が体の前方にずれる事が多く、神経を刺激したり圧迫して腰痛や坐骨神経痛の原因になってしまいます。

 

 

変性すべり症の症状は重くどーんと鈍い腰の痛みを伴い、特に体を後ろに反らすと腰の痛みが酷くなる傾向にあります。

 

中高年の女性に多く見られる病気で、変性がさらに進むと脊柱管の歪みにもつながり、脊柱管狭窄症も発症させてしまうケースも多くみられます。

 

その他の坐骨神経の原因となる腰椎以外の病気

 

坐骨神経を引き起こす病気には、腰椎(腰骨のことです)以外にも原因がある事があります。

 

骨ではなく神経自体の腫瘍、坐骨神経の障害、あるいは大腸や膀胱、子宮などの骨盤内の臓器に腫瘍があるケースなどです。

 

坐骨神経痛の症状で悩んでいて、その原因が椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変性すべり症の3つには当てはまらない場合は、腰椎以外の原因も医療機関で探って貰いましょう。

 

坐骨神経痛の治療方法は?

 

坐骨神経痛の治療方法は大きくわけて椎間板ヘルニアの治療方法と、脊柱管狭窄症の治療方法に分かれます。

 

まず椎間板ヘルニアの治療方法は保存療法が中心になります。手術をせずに、薬物療法などで経過観察を行います。

 

これは、ヘルニアが自然に縮小・消失する事がかなりある事が分かってきたからで、椎間板ヘルニアが発症してから3か月くらいは経過観察で様子を見る事が一般的です。

 

薬物療法では痛み止めの薬が主に使用され、薬物療法でもおさえられない強い痛みが出ている場合はブロック療法と呼ばれる注射を行います。これは、ヘルニアによって炎症が出ている局部周辺に局所麻酔薬とステロイド薬を注射するものです。

 

その他、患者さんの容態に合わせて、医療機関の方針に従って温熱療法牽引療法を取りいれたりもします。

 

脊柱管狭窄症の治療方法に関しては、こちらは老化が原因によるものですから、残念ながら治療法を施したところで脊柱管狭窄症が完治するという事はありません。

 

しかし治療をすることによって痛みを軽減したりする事は可能です。

 

脊柱管狭窄症の治療でもいきなり手術をする事はせず、まずは薬物療法などの保存療法が行われます。

 

痛み止めの鎮痛薬が使われたり、痛みが酷い場合はブロック療法で局部に注射をする事は椎間板ヘルニアの治療と同じなのですが、脊柱管狭窄症の治療では血管を広げるための薬を使用したり、筋肉のこりを和らげるために筋緊張弛緩剤を用いるなどの特徴があります。

 

もう坐骨神経痛で悩まされない!2つのセルフケアポイント!

 

坐骨神経痛は腰椎の神経が圧迫されている事によって起こるわけですから、しびれや痛みの症状を起こさないようにするためには、日常生活から腰椎の神経が刺激されないような状態を作り出さないといけません。

 

そのためにも普段から腰椎のコンディションを整えて、腰に疲れを蓄積させないような取り組みが大切になってくるのです。

 

セルフケアで欠かせない二か条をここでは紹介しておきます。

 

1.腰椎のケア

 

腰椎、つまり腰部分の背骨の柔軟性をキープし、できるだけ腰椎に負担をかけないようにするために、ストレッチをこまめにしたり、腰を温めたり、腰をサポートする事を習慣にしていかなければいけません。

 

言わずもがな、腰は体の中心部です。この部分に支障が出ると体全体に波及していってしまいますから、普段からの腰椎のケアは非常に重要なのです。

 

一度でも坐骨神経痛を経験した方は、当サイトで紹介している高反発マットレスなどもしっかりと導入して、睡眠中から体に負担をかけない万全な取り組みが重要になってくるでしょう。



 

2.ウォーキング

 

坐骨神経痛や腰痛を未然に予防するためには日頃からウォーキングをする習慣をつけましょう。

 

お尻や足がしびれるから歩かないという状態では、ますます腰の状態が悪くなっていってしまいますから、積極的に歩いて足腰を動かしてあげる事で筋肉のこりをほぐしていく事が大切です。



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